閃輝暗展(音楽編その3

ラヴェル組曲『鏡』は5曲で構成されています。順が逆になりましたが、今回は「蛾」と「海原の小舟」を。

1.蛾(Noctuelles)
2.悲しげな鳥たち(Oiseaux tristes)
3.海原の小舟(Une barque sur l'océan)
4.道化師の朝の歌(Alborada del gracioso)
5.鐘の谷(La vallée des cloches)


和訳は色々ありますが大同小異、直訳的です。閃輝暗点者にとっては思い当たるフシだらけです。
私の閃輝暗点のキィワード(11/1/23付)より

四角と三角で構成されたドーナッツ
ギザギザ、ジグザク
ぎらぎら、じらじら
輪、弧、球、螺旋
不定

暗黒、暗闇
プレデター光学迷彩

モザイク
ひび割れた硝子
雲母
水銀
水の底から見上げた太陽
階段、梯子
光の屈折、虹、プリズム、
反射
太陽、月、星
銀河、星雲
瞳、虹彩
プラチナ
車輪、歯車
不思議の国のアリス鏡の国のアリス
地下の国のアリス、歪みの国のアリス
眼に観える音、観音、観世音
可聴範囲を超えた音


ラヴェル組曲『鏡』より「蛾」

ぬばたまの眼裏を無窮動に飛び回る銀色の蛾。翅を振るわせ鱗粉を撒き散らす。瞼を開ければそこもまた、都会の闇。消えかかった街灯から飾り窓の漏れ明かりへ、一夜の糧を求めて彷徨う夜の蝶たち。

ジャン=フィリップ・コラールの演奏

譜面を見れば、私のキィワード「三角と四角で構成された」始まりです。左手の三連音符と右手の4連(4つの16分音符)がキラキラと蠢きながら弧を描いてゆきます。
1'15"あたりでlento(遅く)になってからは暗点部分、割と広い範囲のもやもやした闇に時折、銀色の鱗粉が輝きます。そしてまた三角と四角の鏡の破片のような煌めきが戻って、視界の隅へ消えていきます。


ラヴェル組曲『鏡』より「海原の小舟」


サンソンフランソワの演奏

わだつみの底いも知れぬ大洋の波に弄ばれる小舟。海原に星が降り注ぎ、波に見え隠れする小舟は三日月の形。三日月はシーソーのように舳先を上げたり艫を上げたり。波の下には人魚たち。人魚のくねる肢体も三日月。鱗は虹色、その吐息は銀の泡。そして空にも金の三日月。

と、そこまでは普通の感想、想像。これが閃輝暗点者の眼にシフトを変えると、その連想の全てが、ひびの入った鏡に映しだされた幻影になります。海原はオーロラの如き曲線。幾重にも重なってぎらぎらと湧いてくる錯視の図形のような無限、夢幻、




ダリ:不思議の国のアリス「涙の海」