すみれほどな
菫程な小さき人に生れたし /漱石
明治大正時代のエリートたちは、高い高い志を持っていたとはいえ、その背に国の期待を背負わされて、それはそれは重たいことだったことでしょう。
平凡に、静かにひっそり生きられることの幸せを、ついつい忘れてしまいますけど、それがどんなに美しく貴重なことか、こんな時にはひしひしと感じられます。
公園の石垣の水抜きの管に住みつく小さきものたちが面白く、危うく、そして逞しかったので撮ってみました。
はこべと、何かしら蓬みたいな形の葉っぱ。
今夜も、国の運命を一身に背負って働いている原発の技術者達。この人達もほんとうは、ついこないだまでは菫程な人たちだったはず。非常時の職務とはいえ、酷い環境で働いているそうです。
東電の社長さんは大病院の暖かい特別室でふわふわのお布団にくるまれて、敬語で話しかけられ、日に何度も体温測ったり脈を見てもらったり、看護婦さんに優しく微笑まれ、院長先生に回診されたりなさってるんでしょうね。
自らの手で、マットや布団やお弁当でも運んであげればいいのに。他のお偉いさんたちも、せめてそれくらい働けばいいのにって思うけど、私たちも共犯。
菫程な小さき人に生まれたし /夏目漱石