TOKAGE号ちう

kyopin2004-10-20

キミたちは何と闘おうとしているのか


低層住宅、横長ーーーなので、
びくともしなくて安穏としています。
それでも風雨の音はすごく聞こえます。
「はげ山の一夜」とか「魔王」とかの感じ。
なにかいる、外になにかいる。


グリーグの抒情曲集に「夜番の歌」というのがありますが、子供の頃、弾きながら震えていました。お屋敷の、森のような敷地か、狩り場の番小屋で夜の番をしてるんでしょう。若い番人の初めての夜番なのか、暖炉に火をくべながらお酒でも呑んで、不安を押し殺したような鼻歌を歌っているのですが、やぐい造りの小屋の外には妖怪や魔物がうろうろしていて、黒い声で扉を開けろよーなんて囁きかけてくる(と、思って恐怖している)。


ごーごーと荒い息は風になって、小屋の屋根を吹き飛ばしそうで、番人は肩を細めて、火を絶やさずに朝を待っているのです。でも、ほっとする朝は来たのかまだなのか、釈然としない終わりかたをするのね。2分にも満たない小曲なんですけど、弾いている時間は一夜で、音楽ってなんて不思議な時間を刻むのだろう、時間とはいったいなんなのだろうと子供心に思ったものでした。