中タンの魔女

kyopin2005-08-04

うまい具合に隻眼の黒猫がいるし


中タン=中日ビルタウンというのは、60年代の後半頃に建った名古屋栄の横広のビルのショッピング街です。まだブティックという言葉も上陸してない頃で、田舎くさーい名古屋のなかで、ちょっとだけお洒落?若い人向き?みたいな、ハテナ付きではありますが、まぁ、そんな場所でした。


その後、名古屋駅前のナナちゃんで有名な名鉄セブンができて、そちらのがもちょっとお洒落なお店が入って、さらにその後、東桜だったか桜館という、ブティックがぎっしりつまった小ビルができて、そのあたりでわたしの70年代は終わりました。


名古屋ってなんでもかんでもビルの中により集めるのが好きなんですよね。アメ横ビルなんていうのもあるんですよ、なんざんしょって思います。あとね、中華街ビルもあるらしいです。名古屋にも中華街を作ろうっていうコンセプトらしいんですが・・なんざんしょの嵐です。


で、中タンに戻りますが、今日は夕方から時間が出来たので、ちょっと栄まで迷子になりに行ってきまして、中タンにも何年かぶりでよりました。あ、そうだ、センセイはお元気かしら、、まさかね。。センセイというのは、十代の頃によく通ったロダンというブティックのママさんです。


母よりうんと年上だったし、あの頃でも魔法使いのお婆さんとか魔女とか呼ばれていたから、さすがにもう、、いらっしゃらないかと。案の定、お店がありません。で、別の行きつけだったお店でお買物して、ロダンさんはいつ頃無くなってしまったんですか?って訊きましたところ、「あるんですよー!場所を移動してね、センセイ!めっちゃお元気なんですよーーー!」という答えをいただきまして、すわ!会いに行ってきました。


魔女は健在でした。レースと花模様の館にひっそり、、でもなく、キラキラ輝いて、しわくちゃだけどとっても綺麗で。ああ、十年ぶりくらい。「もう、センセイ、とっくにいなくなっちゃったと思い込んで、顔だしませんでしたぁ」「120までは大丈夫だから、たまにはいらっしゃい。半額で売ってあげるわよ。」ですって。服をきょろきょろ漁っていたら、「17の時と同じ顔ねぇ」って大笑いされました。十年くらい前までは、たまに買ったんですけどね、そのことはセンセ、わすれちゃってる…。


フォークロアやインディアなものが流行った頃、数ヶ月、アルバイトさせていただいて、BGM探し係りもしていました。フラワートラヴェリンバンドを教えてあげたら、大喜びで一日中かけていたセンセイ。インド綿と花模様の森には『サトリ』がとっても似合っていました。今も国籍や時代の不明なドレスたちが大量に集められていることは変わらず、シャンソンやクラシックの女性歌手なんかの御用達も多いようです。


わたしのエスニック趣味はほとんどそのセンセイ赤澤かる子さんの息吹だったように思います。それから、もしかしたら生き方も。あのかたのように働き者にはならなかったけど。好きなものにだけ囲まれて、魔女のように黒猫を抱いて、120まで生きてみようかとおもった今宵です。