人という字はのぉ…

kyopin2005-12-03

頼り合うとるのじゃよ、ふがふが


一人で大きくなったような顔をしてってよく言われました。で、良い言葉なので、人に言ったことがあります。その人は幾つか下のギター弾き君でした。おねいさんのわたしがやっとうっすら覚えているようなことを細部までよく覚えていて、なんでそんな古いこと知ってるの?って不思議な人でした。もの凄い早熟で素晴らしい頭脳を持っていたのかな。見た目は賢そうではなかったが・・。


ほんとに生意気で、「フン!一人で大きくなったような顔をして」といぢめると、「メシ作ってくれたのは親だけど、それは親の義務だろ。作って当たり前。それをしなかったら子殺しじゃん。噛んで呑んで消化してエネルギーに変えて、血肉にしたのは自力だがや、
ヒ ト リ デ オ オ キ ク ナ ッ タ ノ !」って、決まって答えるのでした。そうだ、キミは正しい。。。と、毎度おなじ応答でわたしは負けるのでした。


問答ではいつも負けていましたが、じつは、わたしもやっぱり一人で大きくなって一人で生きているつもりです、でした。でも、大した仕事をするでもなく、つまり、大した収入もないのに、なんだか豊かに生きられるのは、他人様のお陰なんだろうなぁと思います、このごろ。


稼いでいる金額に比べて、ほんと、豊かです。誰かがお米を作ってくれて、誰かが牛や豚を飼って殺して精肉してくれて、だれかがお家を建ててくれて、キッチンやドアを作って設置してくれて、誰かが電気やガスを作ってくれて配給してくれて、誰かが水を集めて汚水を処理してくれて。映画も小説も音楽も誰かが創ってくれて。


昔、ピアノの買い換えの時、浜松の工場へ検品&見学に行きましたら、ハンマーやアクションは勿論、大部分の仕上げなどは人の手でなされていました。ひとつひとつ噛み合わせたり削ったり磨いたり。食品工場みたいに白い制服に帽子とマスクをした若い(その頃のわたしと同じくらいの)人たちがその作業をしていました。正直、作る側でなくて、弾く側でよかったぁと思ったものです。


ピアノってあんなに大きくて美しくて精密で天然素材ばかりで、制作行程も複雑で、沢山の熟練技術者の手で長時間かけて作られる楽器なのに、とっても安いです。しんぢ(夫)曰く「キロあたり一番安価な楽器」。うんうん(なんか微妙に違ってるような気もするけど)。でも高かったらわたしには買えません。


わたしが産みだしている量(または世の中への貢献度)に対して、なぜこんなに豊かで満ち足りた生活ができるのかしら。たしかにそんなに贅沢な質ではないけれど、最小を産んで、わたしの欲する量の最大くらいに享受してはいないかしら。人という字のよっかかってる方のひと筆です。とても寄り掛かり支え合ってるとは思えないです。すみません。