地球の危機を救うため
私は、子供の頃からずっと何度も見続けてきた悪夢があります。最後に観たのは三十代だったか。
広い砂漠を、何かに追いかけられながら走っています。砂漠はラクダのいそうなアラビアやゴビ砂漠ふうではなくて、少しブッシュが生えているアリゾナ風。
追いかけてくるものは黒くて大きいもの。黒い球体かゴムのタイヤみたいなもの。振り返って観てはいないのですが、そういうイメージ。大きさはトラックくらいから始まりどんどん大きくなって極大、宇宙くらいにも感じます。
夢のなかの現実の音か耳鳴りか、低い低いゴーっという音と砂煙の中、ブッシュ以外なにもない砂漠を走って走って走って走って、やっと見えて来るものは四角いコンクリートの建物。ビルの屋上にある階段室やエレベータのためのものくらいの大きさ。
ドアを開けてみれば、やはりそこは階段室。10段ほど降りれば踊り場があり、90度、90度回ってまた10段ほど降りれば踊り場、という回り階段をぐるぐると数段飛ばしで駆け下ります。そのうちにふわーんふわーんと浮くように降りれるようになり、足が床を蹴ることはなくなります。
追ってくる黒い大きなものの気配が感じられなくなった頃、そこは地下何十階なのだろう、気が遠くなるほど深い所へ来てしまっていて、それがまた恐ろしい。ふと見ると金属のドアがあり、そのドアには「危」の字と、原子力マークが。
でも、開けるしかない。金属のノブを回してドアを開けると、冷たい空気がサーっと吹いてきて、狭い階段室からは想像もつかないほどの、広い広いグレーの空間が現れ、目が覚めます。いつもそこまで。恐怖で目が覚めます。
フクシマのことがあったから思いついた嘘ではありません。
私はナガサキの被爆二世ですから、核とか放射能とか、被曝は、たぶん普通の人より現実味が強く、怖さ倍増だとおもいます。それから、TVドラマのタイムトンネル(アリゾナ砂漠にある)が大好きでした。四角い回り階段の建物に住んでいたこともあります。
悪夢はそういう影響もありそうですが、それらのものを知る前から観ていたようにも思います。
フクシマの原子炉建屋が、夢の中の砂漠の地下の入口に似ていてゾッとしました。怖くて、今まで話すことも書くこともためらっていましたが、書いてみました。ぐらんぐらんと目眩がし始めています、怖い。
あの中に入って作業をしてくれる方達が現れたようです。
原発事故作業へ、経験生かして=「リタイア組」130人志願−元技術者が呼び掛け
日本人は素晴らしいです。まだ素晴らしい日本人が生き残っていたというべきでしょうか。
大好きな映画、イーストウッドのスペースカウボーイとダブります。おじいちゃんたちが、地球の危機を救うため宇宙へ飛び立つの。その痛快さとカッコ良さったらないです。
http://http://www.youtube.com/watch?v=daCIkk4gFXE