曼珠沙華

雨が降りそうだったので、久しぶりに明るいうちにお散歩に出ました。でもやっぱり案の定、降られました。久しぶりの櫻の園です。



春に、何の樹だろうと不思議だった、すべすべの変な枝ぶりの樹は、やっぱり百日紅でした。



たしか去年は、彼岸花がお彼岸に間に合わなかったのでした。暑すぎて、ちっとも秋が来なくて。彼岸花は日の長さに反応して、その日に咲くのだと思ってましたが、気温も関係するのだと知ったのは去年でした。今年は順調というより、ちょっと早いのかも知れません。ただの感覚ですが。

雨に濡れた草むらに分け入って写したのに、今日の写真はみんなピンボケです。雨だからかしら、ヘタだからかしら。


この華を見ると光子ちゃんを思い出します。光子という文字とその華の姿がピッタリ重なるほど。

名古屋に引っ越してきて初めての秋でした。同級生の光子ちゃんの家の前の土手に、かつて観たことのないほどの群れがあって、その華が大好きな母に見せてあげようと摘みました。光子ちゃんは、茎から出る汁が毒だから気をつけてって教えてくれて、紙で包んでくれました。

8歳の私の両手いっぱいの朱い華を、母はとても喜んでくれて、♪赤い花なら 曼珠沙華〜 阿蘭陀屋敷に 雨が降る〜♪という長崎の歌を歌ってくれたのでした。私はその歌が聴きたくて、その花を摘んだのじゃなかったかしら。

遠い昔のことで記憶が美化されているかもですが、、味気ない名古屋の新興住宅地の住まいから、ふるさと長崎を思って歌う母のほうが、この歌手より何倍も上手だったように思います。艶々のソプラノが仄悲しくて。