迷子のおらしょ

kyopin2006-01-31

どこから来たの?


チベットのお経を聴いています。静かなのは浄土宗や真宗の聞き慣れたお経(音楽として)にとても似ています。賑やかなのは曹洞宗臨済宗かな、そんな感じで、日本に伝わってもそれほど変化されずに来たのだなぁと思うことです。また、声域がうんとBassの、♪に~ん~げ~ん~~ごじうねん~~~♪みたいな謡の発声や声調に似ているのもあります。


何人かで唱和されているのは、やはり静かなのは日本のお声明に似ていますが、いきなりチャルメラやシンバルが♪じゃかじゃかみゃーんぷわーん♪と入ってきて驚かされます。音楽だけのもあって、たぶん祭礼に使われるのだと思いますが、インドやトルコ風です。つまりヒンドゥだったり、イスラムだったり、そんな匂いです。


仏教音楽は遠くヨーロッパの香りをも遺しているのか、音の重なり具合から幽かに幽かにギリシアの音も聞こえるように思います。ギリシアの神様のための音楽と、ユダヤ、アラブのそれが、新興宗教であるキリスト教の聖歌の元になったとされますが、その根拠が読経からほのかに匂ってくるようです。


教典がネズミに食べられないように、猫たちは船に乗せられて日本へ初上陸したのだそうです。楽器やそれを奏でるお坊さん団も一緒に来たんですよねぇ。船の中でもお経を唱えたり、音楽をしていたでしょうね。♪みゃーん、みよ~~~~ん♪と鳴る笛や喇叭の音は、人や異性の気を引く猫の声にも似ています。それは猫さんたちには心地よかったかもしれませんが、♪ジャカジャカジャン♪なシンバルは敵わんでしょうね、お気の毒に、さぞ怖かったことかと。


極東の列島にギリシア発祥の音楽が流れ着いて雅楽も出来たわけですね。和猫もね。あそうそう、その列島のまたまた西の小島にはグレゴリオ聖歌のスペイン片田舎バージョンが歌い継がれています。御誦とか、おらしょ(=Oratio)と呼ばれるものです。最後の一番若い隠れ切支丹が今50歳代だそうで、もう次ぐ人がいないらしく、絶滅目前であります。


指導者もなく、お布団の中で父から息子へとこっそり伝承されたグレゴリオ聖歌は、やっぱり日本のお経に似ています。四百年、迷子を続けてきたおらしょも聴きたくなってきました。