ドクター・タルカス・アトム・ハーツ・クラブ・クァルテット

kyopin2006-04-10

クロの巣


70年代にクロノス・クァルテットで現代音楽の面白味を知ったかもしれません。はじめは「紫のけむり」に衝撃を受けたのですが、その後、クロノスを追いかけていたら、グラスやライヒのミニマルとか、グレツキの沈思やら、ひりひりとアバンギャルドを肌に感じる機会を得たのでした。


クラシックの現代音楽はとっつきが悪いものですけど、それはまだ晒される途中で、大衆の編み目をくぐり抜けてないものがほとんどだからなんでしょう。一世風靡の勢いの頃のクロノスも実のところ賛否両論で、阿呆かと思われるようなインタビューをされたり、こき下ろされたりしたようでしたが、イイモノは良いからこその今です。


あの時代、つまらない(としか感じられない)現代音楽の座を代行していたのは、実のところプログレだったのじゃないかと思います。そして、そのプログレを聴いてきた世代がクラシック音楽家になり、当然のようにクラシックの側からプログレに近づいて行った人たちがいます。クロノスにも刺激されたその四重奏団はモルゴーア・クァルテット、日本人です。http://www.nihira.jp/m/ ここあたりが詳しいかも。


今日のタイトルは、そのモルゴーアの『Destruction~Rock Meets Strings』というアルバムの1曲目「アトム・ハーツ・クラブ・クァルテット」の原題です。うふぅ、、EL&Pタルカスで始まるの。そのまま長い題のほうが嬉しかったのにねぇ。で、アトムはピンクフロイドでしょう、ハーツ・クラブはサージェントペッパーでしょう。


モチーフとしての引用は勿論あるんですけど、歴としたオリジナル曲に仕上がっています。全4楽章。本歌を知っている人も、知らない人もどちらサイドも楽しめるんじゃないかなぁ、現代音楽入門にも最適ではないかしら、、って思います。


2曲目「レッドツェッペリンに導かれて」も全3楽章のオリジナル。続く「イエス・ストーリー」と「キング・クリムゾンの肖像」はどちらも全3楽章の編曲ものです。どれもとっても面白く、良くできていて、愛聴盤です。・・・しっかし、、AMAZONでも扱ってないわな。。。 


EMI CLASSICS TOCE-9650


ノリや重厚さや艶なんかもクロノスの域には達していない感触はあります。せっかくのプログレ好き日本人クラシック家なので、題材をブリティッシュに求めずに、70年代の日本のROCKに求めていたらどうなっていたのか、これからってことはないのかと、ワクワク感が残ります。