続・因果帝国

kyopin2006-10-22

行け


20代の終わりに自動車学校へ通いました。お昼のコースだったので、主婦が多かったのですが、ひとり、とても清楚で可愛らしい高校生の女の子がいました。主婦達は彼女のことを「エホバちゃん」と呼んでいました。


エホバの証人の信者のお嬢さんだったのです。「わたし、高校を卒業したら布教活動にはいるので、ぜひ、車の免許が欲しいんです」だそうで、わたしの入校より三ヶ月ほど先輩でした。あん?高校生じゃろ。一番アタマも冴えーの、運動神経もしゃきーんじゃろ。なんで三ヶ月もココにおるのじゃとツッコむほど、おっとりのんびりした不器用そうな子でした。


で、悪いけどお先にーって卒業して、ひと月後くらいだったか、やっと取れましたぁって、彼女がうちにやって来ました。ええ、布教活動の一環として。 静かに熱くハルマゲドンについて語り合っている最中に、あんなに可愛らしいピンクの唇が言いました「アナタは悪魔です。死んだら地獄へ堕ちます」うわーーーん。


この宗教でしたっけか、臓器移植が御法度なのは。わたしもどちらかというと、他人の臓器を移植してまで生きたくない派なんですけど、勿論、我が身や身内にそのような不幸が襲ってきた場合には、ああ言ってたのはどの口だー!っとなじられることでしょうけど。


そういう思想をほんのり持ちながら、友だちの母上にいっぱい血液を差し上げたことはあります。それで手術が成功して、もう暫く生きてくださるならと、ふつうに思ったからです。それよりなにより、輸血は臓器提供という認識をしにくいです。それでもこの先、ドナー登録はしないと思います。


こんなニュースが
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061022it12.htm
このお医者さま、偉かったね。医は仁術なんて言葉は死語になったかのような報道が目につく昨今、ほっと胸をなで下ろします。


それにしても、宗教はやっぱり難しいです。身体にメスを入れることを許さない宗教のようです。手術に伴う輸血(臓器移植)の問題かもしれませんが、とにかく、それをしてしまうと天国には行けず、地獄で永劫に苦しむとかなんとかなんでしょうね。


この世はちょっとした道草で、天国への旅の途中、天国行きが目標なのだから、この世での別れはいたしかたない…なんていう教えだったら、子どもが天国へ行かれなくなるのは、どうにもこうにも諦めきれるものではないのでしょう。


でも、信仰しているのは両親で、子ども本人ではないですから。子どもは親のものではないですから。ここはここ。ここの常識に従ったって、その子は地獄行きにはならないと思うのが、はぁ、、悪魔の考えなのでしょうね。やっかいなことでございます。



 運ばれてゆく命なり筺の中
        その筺の中そのまた筺の  京