虎杖

虎の杖と書いてイタドリと読みます。虎仙人の魔法の杖かしらん、何かの痛みを取ってくれそう。謂れは知りません。この虎杖の新芽を炒め煮にしていただきました。 
イタドリをイタメニにしてイタダイタ/京…ってか。

酸味が強く、春の野草らしくエグ味もありますから、さっと湯にくぐらせて皮を剥いて一晩、水にさらしてから調理せねばなりません。めんどい。こんなに面倒だから普通の野菜の座につけなかったのでしょうか。料亭用に塩漬けのはあるようですけどね。

昔々の、お猿さんに近かった頃の御先祖様たちからずっとずっと、これは食べられる、これは食べられない、食べると死ぬ、死にはしないが気が狂う、死ぬこともあるが死ななければ死ぬほど美味い!、痺れる、夏はダメだが冬なら吉とか、ここんとこをこうすれば大丈夫、、などなど伝えられてきたのですね。

台所に立つようになったら、豚肉を切ったら包丁とまな板はすぐ洗う、豚と鶏はちゃんと火を通す、卵の殻を触ったら手を洗う、鯖は酢で〆る、じゃがいもの芽は繰り抜く、なんてとこは教えられました。

虎杖はシュウ酸だか硝酸だかが毒なので山ほど食べちゃダメだそうです。赤ちゃんに蜂蜜はダメ、子どもに生肉はダメ、犬に玉葱と鶏の骨はダメとかも。河豚を食べるならちょっと高くてもちゃんとしたお店で、なんてのもありました。

そういう戒めもずいぶん緩んでしまい、この頃は豚や鶏のレアも、鯖の刺身も、素材によっては大丈夫になってましたし、牛のレアなんて普通に大丈夫って思い込んでいました。

科学が進んで、何がどういけないかが解ってきたことや、衛生状態が良くなったのと、お店(広い意味の隣人)を信用しているからです。狂牛病牛肉、雪印不二家赤福、吉兆、それからミートホープの牛肉偽装でしたっけ(もう忘れかけてる)、毒入り餃子ってのもありましたね。一流や有名な会社も信用できないことを学習したのに、すぐに喉元過ぎちゃう私たちってお人好し。

今回の大災害と原発の人災も、昔の人たちが口酸っぱくして言い続けてくれた言葉を忘れずに、無視せずにいたら、被害はもっと少なく済んだはず。自然を畏怖し、奢り高ぶらず慎重にしていたら。

杖をついている虎って想像しがたいですけど、転ばぬ先の杖は忘れてはならないんですね。思い切って捨てたほうがいい物と捨ててはならない物をみんなで考える時が来たのでしょう。


でも、不法投棄はいけないわ。



Olivetti、美しい。よく出来た機械は美しい。